1つの技法に拘れば他を知れませんので、常に頭を柔軟にしておかなければなりません。
そこで今回はカンデュラとハイブリッドのハイブリッドを試してみました。
ややこしいですが、カンデュラとハイブリッドの良いとこを合わせたものです。
カンデュラはフラスコ内の石膏に盛りつける技法が一般的ですが、上手に仕上げるには高度なテクニックとかなりの経験が必要ではないかと思っています。
パッケージやメーカーの紹介写真を見ると頭の中では美しいモノが出来そうに想像できますが、限られた時間での作業という実際の臨床で思い通りの表現をするのは至難の業だったりまします。
安易に扱うと一般的には立体感が無く表面的な表現になりやすく、リアル感も乏しくなってしまいますが、血管の表現とと白っぽさなどの大きなグラディエーションの表現はハイブリッドでのそれと比べると格段にやり易いということが言えると思います。
ハイブリッドは歯肉の透明感を表現するには持って来いですが、、築盛量が多いと驚くような収縮による義歯全体の変形につながることもあります。一般的に重合~形態修正が終了した義歯をカットバックして盛り付けて表現していきますが、そのカットバック量の取り扱いは慎重にしなければなりません。
また、ハイブリッドでは全体のグラディエーションなどの大きな色の移り変わりなどの表現が難しかったり、血管の表現などは元々考えられていなかったりもします。
カンデュラで下地作りをしたところです
カンデュラはマスキング効果が高く、
ハイブリッドを薄く盛る下地つくりとしては優れていると思います
この段階だけ見ると「なんじゃこりゃ~」です
ハイブリッドをどう接着するかということですが、それはいずれゆっくり紹介します
ハイブリッドを0.5~1.0mm築盛し、形態修正したところ
ハイブリッドの築盛では、いわゆる「赤」や「ピンク」などは一切盛っていません
カンデュラのみで仕上げた場合、義歯の研磨面は筆積みの即時重合レジンになり、質感や変色の問題もつきまとうため出来上がった直後は良いかもしれませんが、経年変化による問題も出てくることも考えられます。
前述していますが、ハイブリッドの築盛量はその増加に比例して変形のリスクも増すという問題があります。
しかしこの方法を上手に利用できれば、難しいカンデュラによる表現だけに頼ることなく、直接目で色を確認しながらハイブリッドを盛り付けていくことが出来ますし、ハイブリッドの厚みを1mm以下に抑えて変形のリスクを無視できます。
カンデュラによるマスキング効果と血管模様などの下地と、透明感を持ったハイブリッドの質感表現との相乗効果により、耐久性を兼ね備えた作り物に見えない入れ歯を表現できるのではないかと思います。
今回は「治療用義歯」の製作依頼があったのですが、このケースで審美義歯を試させていただけないかと先生に相談したところ快諾していただけたので、今回の製作になりました。
製作 DT佐野
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