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2012年6月30日土曜日

浦和歯科医師会 第一回学術講演会

今日は浦和区役所保健センター4Fで催された、講演会に参加してきました。


【講師】 東京歯科大学口腔インプラント学講座
主任教授 矢島安朝 先生

【演題】 インプラント医療を通して歯科医療の未来を考える
—今、行わなければならないこと—


以前はメディアに対して「歯科」が何か言おうとしても、誰も相手にしてくれなかったそうですが、最近では悪い意味でインプラントが問題になっているため、変に注目されているそうです。それでも注目されている今だからこそ、「今、行わなければならないこと」という問題提起をしていきたいと、いうことのようです。

2008年の統計では、日本の人口10,000人あたりの年間埋入本数は50本で世界で9位だそうです。ちなみに1位韓国、2位イタリア、3位スイス、4位スウェーデン、5位スペインと続きます。アメリカは??と思ってしまいましたが・・・
経済的背景からすれば、日本の9位というポジションはおかしいらしく、日本人の国民性がそうさせているのではないか、とインプラント業界の人たちは考えているらしいです。

日本の一般的なインプラント治療では血液検査をしないそうですが、今後は血液検査をして、体質的に問題がないかなどを科学的に検証する必要があるのではないか、と言っていました。

700人を無作為に選び検査してみたところ、70人は内科処置を施してからでなければインプラント治療をしない方が良いという結果が出たそうです。

また、ビスフォスフォネートの問題が絡む骨粗鬆症を例に挙げると、60代の女性の2人に1人、70代の女性の10人に7人は骨粗鬆症を起こす状態にあり、年齢の枠をとった場合、男性の15.3%、女性の28.2%が骨代謝マーカーで基準値を逸脱しているそうです。



臨床データを集め、データに基づいたエビデンスを積み重ね、コンセンサスを作り出すことが大事なのだと、強く訴えていたように感じました。エビデンス・ベースド・メディスンという、そのエビデンスとコンセンサスに基づいた治療を進めていくようにすれば、「私の経験では」「私の歯科医院では」という曖昧な表現の成功例、失敗例の話などではなく、客観的に科学的データに基づいた医療として信頼が確立していくのではないか、というようなことだと思います。


骨造成についてもコンセンサスが得られているもの(例えばGBR)や、コンセンサスが得られていないもの(例えばベニアグラフトやソケットリフト)を、細かなデータに基づいて意味のあるモノとそうでないモノを明確に分けていました。


テレビなどを通じて言っているように、「インプラント」と言えば患者や客が集まることから、歯科専門の書籍や講演会なども、内容に関わらず題名に「インプラント」という文字を付ければ15%の集客・増益が見込めるそうです。

今の技工界では「ジルコニア」「インプラント」や「CAD/CAM」あたりでしょうか。


木を見て森を見ずではありませんが、流行の文言に踊らされず、現状の問題点とこれからをシッカリと考えて歩を進めていかなければならないと感じました。





2012年6月28日木曜日

下顎前方位  【呼吸位】

大阪の先生から呼吸位を助けるスプリントの製作のためお預かりした模型ですが、無意識下の顎位が解りやすい咬耗状態だったので紹介します。



パッと見は普通の健全な全顎模型に見えますが、良く見るとオカシなところがあります





20代の女性ですが、上顎前歯の唇側に咬耗面があります。
覚醒時被蓋咬合ではありえない顎位による、何らかの運動(動き)があることが分かります。





そこで被蓋位と呼吸位で咬耗面を分けてみました。



実線で囲んだだけの部分は覚醒時被蓋咬合、斜線部は無意識下呼吸位です。






別の患者さんで
過去に既出の模型ですが、更に解りやすい模型も紹介します。



上の写真は覚醒時被蓋位で、よく見る一級の咬合だと思いますが
下顎を咬合面観から見ると驚きの咬耗面が観察できます。




またいずれ、この件に関しては詳しく述べます。

週末の大阪と本

毎月の最後の週末に行われる大阪での咬み合わせ勉強会は、さすがの大阪ということで今も熱いまま皆さんが参加しています。

少し前から始まった土曜日の臨床報告会というか臨床相談会も出席者が増え、持ち寄るケースの難しさもさることながら、解決策の意見の出し合いなども活発で、傍で聞いているだけだとしても勉強になります。



日曜日のセミナーも、ここ3〜4回では当日の飛び入り参加者が常にいたりして、もともと熱気あるセミナーが更に活性化するような雰囲気さえあります。



17:00までのセミナーですが、終了の挨拶のあとの質問や相談で、いつも退室できるのは18:00近くになってからです。



大阪への行きは、夕方から集まりがあるためか適度に緊張していますが、日曜日の帰りの新幹線は本気で気を抜くことが出来ます。シートの狭さを除けば、至福の時間です。
今回は島本理生のナラタージュを読みました。



本屋さんでは、それなりに評価されている風に飾ってあったのですが、私個人的にはとても楽しめない本でした。

愛を背負う苦しみを擬似的にでも味わいたい方は良いかもしれません。


今日は夜になって、とある先生の家にお邪魔したのですが、そこで「徳川家康」の10冊を見つけてしまいました。

キラキラした眼で見つめていたら「読みたい?」と聞かれたので「良いんですか??」と言って借りてきてしまいました。しばらくの間楽しめそうです。

2012年6月26日火曜日

6月26日 大安

1989年、昭和天皇が崩御された年の4月に始まった消費税3%ですが、1997年に5%になり、そして2014年に8%、2015年10月に10%に上げるという法案が衆議院を通過しました。

消費税が3%、5%、8%と上がっていくなかで、何が増えて何が減っていったのか、そして今回の改革で「誰がこれまで通り安泰」でいられ、「誰が大変になる」のかと考えてしまいます。










それでも、今日は大安です。

秀吉の一夜城と言えば、美濃攻略の重要拠点として建てた墨俣城が有名ですが、もう一つの一夜城として家忠日記に記されている小田原城攻めの石垣山城も有名です。

松田家忠の家忠日記では1590年の6月26日に石垣山城が完成したと記されています。


なにかと良いです。

2012年6月25日月曜日

咬合治療

土曜日は午前中から雑務をこなし、昼前から大阪に出発。

最近はいつも同じ時間に出発するようになり、昼はいつも新幹線で採るようになりました。
私の定番はこちら

男としては肉食系な私ですが、最近の食事は肉肉したものから少しズレてきたような気がします。

土曜日の夕食は「臨床報告会」の後なので21時過ぎになり、誰と食事するわけでもないのでコンビニで弁当を買ってオシマイです。


このブログでこういうこと書くのも妙ですが、咬合治療、咬み合わせ治療という名のもとに誘導された顎位や付与された咬合に、患者からのクレームも多いのではないかと思います。



どこでも喧伝する理論はナルホドと感心できるものがありますが、では実際の臨床でどうなのか?患者さんの予後は?患者さんの評価は?と本気で第三者が検証してみると、実はあまり評価されていないものも多いのではないかと思います。

肩書があったり、歴史があったりするほど、立てた理論の正しさを守らねばならず、「自分の間違い、浅はかさ、行き過ぎ」などを認められなくなるのでは?と思います。
実は周辺の人たちは「もっとこうすれば」という意見を持っていたりするものですが、周辺の人ほど僕と化している組織も多く、誰も本当のことを言えなかったりもするようです。

「コレだけやれば大丈夫です」 「これこそが全てなんです」などと主張されると・・・「おっと行き過ぎてる」と思えてしまいます。



高齢化社会、人口減少が始まっています。
私が考えるには、咬合治療はこれからが本番ではないかと思っていますので、多くの患者さんに喜ばれる本当の咬合治療が進化していけばと思います。



2012年6月22日金曜日

週末は大阪へ


台風が通り過ぎたあとの夕焼けはキレイでした。

私は7色の朝焼けを見たことがあります。
もう20年ほど昔の話ですが、当時勤めていたラボの仲間と伊豆の白浜に行き、朝方4時過ぎに見た薄いうろこ状の雲に覆われた朝焼けです。今では映像としてハッキリ覚えていませんが、一緒に見た仲間と、美しさと驚きのあまり呆然と立ち尽くしていたことだけは、ハッキリと覚えていますw



さて、ニッシンからポータブルLED照明器が発売されました。 eBiteに続くeBite2です。



パンフレットを一通り読ませてもらいましたが、ライトを自由に使えない訪問診療に重宝しそうですし、プラークが見えやすい青色光などを使えば患者説明用に便利だなと感じました。
また開口器の役目も担ってくれるバイトブロックも高さが4種類と多く、子供から大人まで、あんな人からこんな人まで利用価値がありそうです。


そして明日あの土曜日は夕方から大阪で臨床報告会。
日曜日はセミナーです。





2012年6月21日木曜日

NEW FUJIROCK  vs  New Hi-Rock ≪vol.2≫ (追記)

その1 からの続きです。


昨日の水に浸した後の「色落ち」ですが、色素が落ちたのか、石膏そのものが溶けだしたものなのかは判りませんが、乾燥しているティッシュ表面では昨日より鮮明に観察できたので掲載します。
ただ、白いティッシュに淡い色が着いたものを写真で表現するのはとても難しいので、一枚は撮ったまま、もう一枚は「レベル補正」をして、色が見えやすいように加工してみました。

撮ったままの写真【±0.7】


Photshopでレベル補正




6.全てが終了し、顕微鏡レベルで撮影

1)GC NEW FUJIROCK(写真は同じ被写体を2ショット撮影しています)

 熱湯~加圧~水冷を繰り返した模型


 アクロセップを一回塗りし、完全乾燥後に模型を吸水しエアーで乾燥させたもの



2)Hi-Rock





それぞれ画像をクリックすると拡大できますが、それでは比較するのに面倒だろうということで、拡大切り抜きしたものを載せます。

注)上の写真も含め、これらの画像は一切の画質補正を施していません。撮ったままです。


上がFUJIROCK、下がHi-Rock
(熱湯~模型)



 上がFUJIROCK、下がHi-Rock
(アクロセップ~模型)


【考察】
観察の段階で述べていたように、Hi-Rockは模型中の水分量の変化に伴った特異な色の変化があり、技工作業をしていて「石膏が弱ったのか?」と思わせるような雰囲気を醸し出すため、他社製品に比べて極端な色落ちや表面の荒れなどがあるのではないか?という疑念が先入観でありましたが、結果は良い意味で完全に裏切られました。

今回行った範囲では、差は認められませんでした。

一枚目の拡大比較画像から分かるように、Hi-Rockの方が粒子が細かく見え、FUJIROCKのほうが荒い粒子を使っているように見えます。私はド素人なので言葉に何の保証もありませんが、ひょっとしてこれは硬度を保つため、あるいは増すために大き目の粒子をつかっているのかな?と思いました。もしかしたら熱湯~加圧~水冷などの回数を増やしていった時のエッジの残り具合などでは、ここら辺が影響して微妙に差が出てくるのかもしれません。


思ったほどの差が出ず、流石に吉野石膏だけあってHi-Rockも凄いなと思ったのが率直な感想です。


【追記】
結局使っている上では色素の「沈殿」や「落ち」が問題だろうと思いますが、新たに分かりやすい写真を追加します。

GC

 High-Rock

High-Rock

これらはシリコン印象材に注ぎ、印象材から模型を外した直後の状態です。
High-Rockでは補綴部位付近に色素の沈殿が見られます。
シリコン印象材に石膏を注ぐときは、一般的に補綴部位から先に石膏を注ぐため、そこにある石膏がバイブレーターの振動を長時間受けることになります。

この色素の沈殿というか集まり具合は、そのせいではないか?? と思っています。

技工物の精度に影響があるか?と言えば、あまり無いだろうとは思いますが、使っていて不安になる石膏でもあり、「これって何とかならないんですかねぇ~」と、弊社スタッフの皆が感じています。



【余談】
インプラント上部構造でファイナルのImpをした模型で、レジンモックアップを作ることがあります。
レジンモックアップを作ったあとに、通常の上部構造体の製作に入らなければならず、アクロセップ塗布面の後処理に困ることがあります。

ご承知のようにアクロセップはアルギン酸が模型中のカルシウムと反応して不溶性のアルギン酸カルシウム被膜を生成しますが、例えばやってはいけないスチーマーなどで「その被膜」を飛ばそうと思っても、飛んで行ってくれるのはアルギン酸カルシウム被膜の上にある「ただのアルギン酸被膜」だったりするので、結局のところアクロセップを塗ったら表面のディティールに関して精度は無い、と思わなければならないということが言えます。

ではホルムアルデヒド系で無成層のAislarなどを使えばと思っても、技工物の製作工程の最後にレジン重合がある場合は良いですが、中間工程でのレジン重合では躊躇します。


一回でもアクロセップを塗布した模型は、上の写真(アクロセップ~模型)の状態から抜け出られなくなります。だからこそ、アクロセップを完全に除去する方法は無いモノか??と思ってしまうわけです。







 












2012年6月20日水曜日

NEW FUJIROCK  vs  New Hi-Rock ≪vol.1≫

超硬石膏対決をやってみました。

なぜこのような比較をやってみようかと思ったかというと、超硬石膏を扱うことが多い中では経済性も少しは考えないといけないと思いつつも、それでも精度が落ちてしまうようなら本末転倒になってしまうということがあり、それなら日常の技工作業による負荷を掛けてみて、どのような差が出るのか?を調べてみれば良いじゃないか!となったワケです。

【王道を突き進むGCからは NEW FUJIROCK   対する  吉野石膏からはNew Hi-Rock


通常のクラウンブリッジを作っている限りでは、模型製作時を除けば水に浸かることは殆どありませんが、義歯製作、インプラント上部構造製作などになると、熱湯をかけられたり、加圧されたり、吸水させられたり、アルコール系の分離材塗られたり、アクロセップ塗られたり、エアーで急速乾燥されたり、油分を含む縮合重合型のシリコンを圧せられたりと、色々負荷がかかります。

そこで、順にやってみました。


シリコン印象された片顎のトレー2つに、それぞれの超硬石膏を注ぎました。
どちらも注いでから24時間以上経過したものをトリミングしました。



1.熱湯に入れて加圧釜で加圧2分、その後水中急冷

このセットを連続5回


違いはありませんでした。
ただ濡れた石膏にエアーをかけて乾燥させようとしたとき、Hi-Rockは色の変化に癖があるのか、それが着色剤のせいなのか分かりませんが、まるで石膏表面がヘタったように見える時があります。もちろん錯覚ですが、錯覚させられるかのような色の変化があるということです。具体的には元の色に戻る前に、グレーを足したような暗い色を経由します。それに比べGCは水分を加えたときから乾燥させるまでの色の変化が自然で、水分を含めばシットリした色になり、水分が飛んだらその分だけ白っぽくなるという自然な色の変化でした。

下がHi-Rockですが、この差を言葉で表現するのは難しいですが、
スタッフに見せると一様に同じような感想を述べます





2.縮合重合型のシリコンで複模型用の印象(のつもり)
色落ちなどはないか




シリコンへの色落ちはありませんでした。
着色剤が油分と反応してシリコン側に付着するか見てみましたが、どちらもありませんでした。




3.ワックス分離材の塗布

全く何も変化なし、差なし。



4.レジン分離材の塗布

これもあたりまえに行われる作業なので、この時点では何もありません。
ただアクロセップを塗布された石膏模型からアクロセップを上手に完全に除去することは、普段から頭を痛めるところです。

今回の実験の最後に、このアクロセップを塗布した部分にエアーをかけた拡大写真を載せます。




5.30分の吸水後にティッシュで軽く表面を叩くように水分を吸う
写真にもありますが、左がHi-Rockで、右がFUJIROCK

 Hi-Rock

FUJIROCK


差が出ると思っていましたが、驚きの結果です。
どちらも同じ程度の色落ちがありました。



6.全てが終了し、顕微鏡レベルで撮影  その2