2012年8月18日土曜日

田中武先生 顎関節症治療セミナー  その3

10日から東京入りしていた佐野が11日のセミナー終了後に帰路につき、開けて12日には私が品川に入りました。

「新しい顎関節症の考え方と治療法」

講師 田中 武先生

特別講師 日本大学松戸歯学部放射線科・金田 隆教授 



【2日目】

私にとっては初日でしたが、私以外の方々にとっては二日目のセミナーです。
どことなく和んだ雰囲気だったのは、昨夜の親睦会のせいもあるのだろうと思いました。


座学では復位性関節円板前方転位における、往復性クリックと開口路の回帰性偏位と、非復位性関節円板前方転位におかえる開口障害を、一般の方には見せられない顎関節の断面の動画で「下顎頭がここを超えると・・・」「下顎頭がここを通過するときクリックして・・・」と具体的で分かりやすい説明をされていました。

動画を見ながら先生の話を聞いていると、知らずに私も口を開けたり閉じたりし、最大開口から普通に閉口するとクリック音が出るけれど下顎を前方に振って閉口すると静かに閉じることができる、などを後ろの席で密かにアレコレと実感していました。


北品川のKaVo社は、座学スペースと技工机が隣接しているので、ハンズオンセミナーを行ううえでは理想的な会場ではないかと思います。


いくつかのスプリントについて学んだあと
技工スペースに移動し、2ポイント・スプリントをHanelの咬合紙を使って左右が同時に接触するよう調整し、使用方法にしたがって体験していきました。


一番手前が2ポイント・スプリント



実際にやってみる、装着し体感してみるということは、とても大事なことだろうと感じました




咬合調整についての講義がはじまりましたが、参加されている先生のなかに「咬合と頸椎について」と、「整体を施してからの咬合調整」ということについて詳しい先生がいらっしゃるということで、お二人の先生にそれぞれ簡単に講義していただきました。

こういうふうに、参加者にも積極的に壇上に立ってもらって、これまで学んできたことを披露してもらうということは、とても素晴らしいことではないかと思います。
咬合論を語るとき、君は君で私は私といった壁が存在しますが、本来一つの目標に向かってあるモノ同士なので、結果が伴っているものであれば可及的に統合していったらいいのではないかと思っています。




その後、具体的な咬合調整について、その順序と要点をスライドで説明し、口腔内に見立てた咬合器上の模型を用いて田中先生が咬合調整のデモを行いました。


どんな咬合紙を使い、その咬合紙をどう扱い
何でドコを削るのか? ドコまで削るのか? どう残すのか?

改めて問われると、確かなことだといって教わったことはなかったことに気づきます。






デモのあと、それぞれの先生方が技工スペースで
咬合調整の実習をしていきました



いつもやっていることなのに、どう噛ませるために、どこを削り、どこを残していくのかを考えると、相当難しいのだろうと思います。これまでは大体が「反対側が当たるまで」「患者が良いというところまで」、また笑い話よく聞きますが「次の患者が来るまで」だったりします・・・



使用したエポキシ模型は弊社スタッフ恩田の上下顎で、事前に大量生産したものです

机上の論理を教わるのではなく
喋るだけの人の意見でもなく
日々患者と真剣勝負を重ね続けている
噛み合わせ治療の臨床家に
この距離で手ほどきを受けるということは
なかなか無いのではと思います







咬合調整の実習が終わって時間も残り少なくなり、前日のドーソンテクニックの実演に基づいて、各々先生方がドクター役患者役になりドーソンテクニックを実習しました。




術者側、患者側のそれぞれで実感したことが多かったのではないかと思います。。。


患者さんの顎が動かないのは、顎のポジションが悪く筋肉が緊張状態にあるからだと田中先生に教わりました。緊張を解すのは3Dスプリントであり、適切な咬合調整とのことです。



一通り術者被験者を体験してもらったあと、いよいよ田中先生登場

座学で教わり
デモを見せてもらい
自分でやってみて、人にやられてみた直後に
あらためて、手慣れた田中先生の手技を見るということは
相当の学習効果があるのではないかと思いました



2日間にわたるハンズオンセミナーでしたが、熱心に勉強される先生方の姿を見ていると、自分もこうしてはいられないと熱いものがこみ上げてきました。座学と実習を繰り返すさまを見ていると、本を読んだり檀上の話を聞き知ることと、学んで実際に自分でやってみて習うこととの差は歴然としていると強く実感します。

受け入れ方によっては、本当の意味で「明日から臨床に役立つ」セミナーだろうと思いました。

今回のセミナーで使用した3種類のスプリント、エポキシ模型などは、全てが一つの模型をシリコンでデュプリケートしたうえで各々製作したもので、その手間暇は相当なものがありましたが、多くの先生方に目の前で使っていただくところを見ていると「作らせて頂いて良かった」と、心からそう思えました。



3Dスプリントによる顎誘導ですが、支点と筋肉の収縮方向から考えると臼歯が低位になっていくことが想像されますし、実際に弊社スタッフが「3Dスプリントを入れると7番が当たる」ということを言ったりもします。

3Dスプリントで偏位した顎位は、それ自体が理想的な顎位ではありますが、3Dスプリントは側頭骨関節窩内における下顎骨下顎頭のニュートラルなポジションに誘導するためのリポジショニング装置と考えた方が分かりやすいと感じました。

下顎頭がニュートラルなポジションになれば余計な神経は使わずに済み、筋肉も緊張状態から解放されます。

そこから先が肝心要で。。。

生体に悪影響を及ぼさない、筋肉・神経・周辺組織がリラックスするリポジショニングされた下顎骨下顎頭を保ちながら、ドーソンテクニックによる顎誘導(「ドーソンテクニックによる顎誘導は徒手による顎の開閉運動ではなく、あくまでも患者によるニュートラルな開閉運動を手助けする手技)で、高いところ低いところを見極め、高ければ削り低ければ足すをしながら、患者個人の筋骨格位を確立していく、というものではないかと理解します。


田中先生、間違っていたら厳しい御指摘をお願いいたします。


あまりにも臨床の実践に則したセミナーだったので、このまま終わってしまうのは勿体ないと感じました。受講された先生方が今回学んだことを基に、今後の臨床の現場でどのようなケースをどう解決していったか、などの臨床報告会・臨床相談会などがあれば良いなと思いました。











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