今日は浦和区役所保健センター4Fで催された、講演会に参加してきました。
主任教授 矢島安朝 先生
【演題】 インプラント医療を通して歯科医療の未来を考える
—今、行わなければならないこと—
以前はメディアに対して「歯科」が何か言おうとしても、誰も相手にしてくれなかったそうですが、最近では悪い意味でインプラントが問題になっているため、変に注目されているそうです。それでも注目されている今だからこそ、「今、行わなければならないこと」という問題提起をしていきたいと、いうことのようです。
2008年の統計では、日本の人口10,000人あたりの年間埋入本数は50本で世界で9位だそうです。ちなみに1位韓国、2位イタリア、3位スイス、4位スウェーデン、5位スペインと続きます。アメリカは??と思ってしまいましたが・・・
経済的背景からすれば、日本の9位というポジションはおかしいらしく、日本人の国民性がそうさせているのではないか、とインプラント業界の人たちは考えているらしいです。
経済的背景からすれば、日本の9位というポジションはおかしいらしく、日本人の国民性がそうさせているのではないか、とインプラント業界の人たちは考えているらしいです。
日本の一般的なインプラント治療では血液検査をしないそうですが、今後は血液検査をして、体質的に問題がないかなどを科学的に検証する必要があるのではないか、と言っていました。
700人を無作為に選び検査してみたところ、70人は内科処置を施してからでなければインプラント治療をしない方が良いという結果が出たそうです。
また、ビスフォスフォネートの問題が絡む骨粗鬆症を例に挙げると、60代の女性の2人に1人、70代の女性の10人に7人は骨粗鬆症を起こす状態にあり、年齢の枠をとった場合、男性の15.3%、女性の28.2%が骨代謝マーカーで基準値を逸脱しているそうです。
臨床データを集め、データに基づいたエビデンスを積み重ね、コンセンサスを作り出すことが大事なのだと、強く訴えていたように感じました。エビデンス・ベースド・メディスンという、そのエビデンスとコンセンサスに基づいた治療を進めていくようにすれば、「私の経験では」「私の歯科医院では」という曖昧な表現の成功例、失敗例の話などではなく、客観的に科学的データに基づいた医療として信頼が確立していくのではないか、というようなことだと思います。
骨造成についてもコンセンサスが得られているもの(例えばGBR)や、コンセンサスが得られていないもの(例えばベニアグラフトやソケットリフト)を、細かなデータに基づいて意味のあるモノとそうでないモノを明確に分けていました。
テレビなどを通じて言っているように、「インプラント」と言えば患者や客が集まることから、歯科専門の書籍や講演会なども、内容に関わらず題名に「インプラント」という文字を付ければ15%の集客・増益が見込めるそうです。
今の技工界では「ジルコニア」「インプラント」や「CAD/CAM」あたりでしょうか。
木を見て森を見ずではありませんが、流行の文言に踊らされず、現状の問題点とこれからをシッカリと考えて歩を進めていかなければならないと感じました。