2012年8月31日金曜日

リベース~軟質裏層

軟質裏層は、その種類も意見も色々とありますが、
今回はトクヤマデンタルのソフリライナータフ スーパーソフトを使用したケースを紹介します。



 
患者さんは70代の女性で、ここに辿り着くまでにも何十回となく内面調整をされてきました。内面調整する理由は患者さんの痛みの訴えです。これまでも軟質裏層で義歯を作り、痛みを訴えるたびに調整~リベースを繰り返し、何度も何度も直説法の調整を繰り返した挙句、とても美しくなくなった(見るに堪えない代物になった)ということで、今回は再リベース&軟質裏層のオーダーになりました。

ソフリライナーを使用したのは、上記の理由から直説法・関節法の両方が出来なければならないというものです。


人工歯の摩耗状態を見ると、それなりに義歯が使われてていることが分かります
 

 
 
説明書には、テンチのコアを採って義歯内面を削り、空いたスペースに軟質裏層材を埋めて咬合器を閉じる、という方法が載っていますが、実際にその通りやると均一に圧が加わらず表面の質感が荒い感じに仕上がるということと、細かな気泡も入りやすいです。
 
 
 
そこで
 
圧が全体に加わるように工夫してみました
 
 
1、2没を硬質のシリコンで厚めに覆います
 
2没でシリコンを使うのは、重合した義歯を取り出して戻すことが可能になるからです
シリコン耐熱温度は200℃です
こちらのシリコンは茂久田歯科商会からどうぞ
 
 
2、流蝋後に軟質裏層材に必要な厚み分を内面側に設けます
  今回はパラフィンワックス1枚分を手圧により薄くなる部分がないよう注意しながら圧接しました
 
3、松風のフィットデンチャーシステムで、レジンはGCのプロキャストを使用・・・
  (システムは65℃からの設定で、プロキャストは55℃ですが、細かいところはスルーです)
 
 
 
 
4、重合後義歯を取り出し、内面のパラフィンワックスを除去後、
  形態を整え、内面をサンドブラスト処理します

そのとき、転入されたレジンのスプルーを全部削らず、
軟質裏層材の逃げ道を塞ぐ蓋として残しておきます ← 重要


5、 裏層材がくる部分に接着剤を塗布し、義歯をフラスコに戻します


 
 
 
 
6、足りないことのないよう裏層材を盛り、フラスコを閉じて作業終了
 
レジンのスプルーが蓋になり、内部に閉じ込められた裏層材に適度な圧が加わったまま硬化するので、直説法や圧が全体に加わらないまま硬化したものに比べ、はるかに良い質感で仕上がります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 技工担当: 佐野和也

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