~光機能化インプラント治療の検証~
光機能化サミット2013
光機能化技術、世界に先駆けたコンセンサス作りと発信
オープニング公演:小川隆広教授
講演 :大竹敦先生、北島一先生、丹野努先生、寺西邦彦先生、渡辺昌孝先生
場所 :新宿NSビル スカイカンファレンス
日時 :2013年2月10日
インプラント体はメーカーで生産されてから、オペ日にチェアサイドに届くまで普通は数ヶ月かかってしまう。
在庫物に関してはなおさらで、それは流通上やむを得ない。
しかしその事実は科学的に問題があり、チタンの表面が生産から時間が経つにつれ酸化し汚染してしまうのだ。
それは表面が疎水性に変化していき、インプラント体と血液の「ヌレ」が阻害され、
オペが成功し、一見オッセオインテグレーションが成立しても、インプラント体と骨の接触率は50~60%だということが報告されている。
現代流通しているインプラント体の多くは第二世代と言われ、初期のブローネマルクに見られるようなマシンサーフェイスでなく、
メーカーによって様々なラフサーフェイスが与えられている。(HAは除く)
それらのインプラント体の進化によって2000年以降、飛躍的に初期固定、予後サバイバルレートが向上したが、
実はそのような事実がある意味、黙認されていた。
光機能化技術はそのネガティブな要因をぬぐい取る最新の技術です。
「インプラント体に特定の波長の光線を当てて、酸化物を除去しチタンの劣化を復元する技術」
UCLAの小川孝宏教授が研究開発された全く新しい手法で、最初の症例から3年のフォローアップを迎え
これから世界標準化すべきと注目されている。
・・・そのような話を取引先のドクターから予備知識として聞いていて、今回初めて当サミットに参加しました。
毎年あるようで、現在も研究が続けられていて、最新のレポートを小川教授よりレクチャーいただき、最後に拍手によって会員のコンセンサスを取る、いわば世界最先端の集いです。
サヤカの取引先のドクターも臨床報告として講演されるとのことでじっくり聴講してきました。
講演された先生方は5人で皆さん臨床家です。著名な寺西先生も講演されました。
光機能化を取り入れてどのように変わったか?効果はあるのか? と大まかに言うとそのような内容だったと思いますが、
皆さん学会レベルの発表で、数値を細かくグラフにして発表されていました。臨床の仕事の合間にやられてるのか、頭が下がります。
オッセオインテグレーションを数値で客観評価する手段として「オステル」という計測機器があり、研究だけでなく臨床にこそ使いたい価値がある今後必須なアイテムだと感じました。
光機能化をすれば、あらゆるケースでオペ直後より2~3ヶ月後、オステルの数値が上がる。(例外として埋入トルクを強くかけて初期固定が得られた場合、希に落ちることがある。)
オッセオインテグレーションが強固になっていくということである。
動物実験では骨接触率が98.2%を達成できると報告があり、例えば、骨質や骨量に問題がありインプラントの保持や初期固定に難がある症例でアドバンテージがある。
また、光機能化されたインプラント体の表面は骨芽細胞の成長が3倍早いとの基礎研究が有り、治癒期間、イミディエイトや荷重開始への期間が短縮される。
近年の低侵襲の要求や治療期間の短縮といったニーズに答えられる技術であるといえる。
低侵襲、リスク回避のためにショートインプラントやナローインプラントを使用する際に安心感が生まれるということ。
糖尿病の患者は健常に比べて半分ほどのオステル値しか示さないが光機能化をすれば従来の健常者を大きく抜くほどの数値を示す。
そのような一見いい事だらけのような夢の技術もすべて数値を絡めて客観的に皆さん発表されていた。
また、最新の使用法として、ヒーリングアバットメントやクラウンに照射し、表面の汚染を改善することによって、軟組織との関係が良い状態になるという。
それは今後のさらなるデータ収集が求められる。
インプラント周囲炎の問題で、アバットメントと軟組織の結合の向上は予防という面でとても大きく臨床的な意義がある。
概念を覆すようなデータを小川先生が最後に提示した。
通常のオッセオインテグレーションで作られた骨は、実はもともとの骨より弱いことが最新の研究で分かった。(写真で見ると、薄く粗造に見える)
光機能化処置したオッセオインテグレーションは厚み、強さ、大幅にUPすることが分かった。
一日を通して講演を聞いて、もはや光機能化をやらない理由はない。今後必須であると思いました。
まとめとして、演者の方々が述べていた言葉で印象的だったのは、
「今までも十分な成功率、生存率をを当院は誇っているので、そんな高価な機械はいらない?、いやいや、知らない人は強いが、怖い」
「患者さんに対して、歯科医療の尊厳としてするべきである」
「日常臨床で強い安心感を得られる!」
今後はさらなる研究が続いて、例えば「口腔内用・光機能化装置」などもできるとのこと。
そうすれば、既にオペされてる部分の改善や、アバットメントやクラウンのアフターケアなど臨床的に様々な使用法ができそうです。
光機能化技術は、日本人が開発し、日本人がいち早く臨床応用している、日本発の技術であること。
先日ドイツで講演されたところ、拍手喝采だったそうだ。今後世界標準になるであろうこの技術の発信国であることに誇りを感じ、信頼のある学術を発信していきましょう。
そんな言葉で会は締められました。
チェアサイドの処置であるので、ラボとしては知識として持っておくに過ぎないかもしれませんが、この会に集まった先生方は間違いなく最先端であること。
そんな先生方と共通認識を持つことは歯科医療としての尊厳そのものであると感じました。
DT. 恩田典之