2012年3月30日金曜日

e.max LT (2)

(1)からの続きです


2ケイ酸リチウムセラミックの硬くて粘り強いスプルー線を調整し大よその形態まで整え、築盛範囲を削っていきます。

ちなみに写真では右側が削った後で、左側は削る前です。

ウォッシュ完了


ウォッシュ焼成を終えたら、ボディ、ステイン材などで内部の表現に工夫を加え、エナメル色陶材を盛りつけていきます。


焼成完了



厚みは0.8mmから厚いところでも1.1mmほどです


正面から見るとそれなりに感じますが・・・

実は上顎右側の4番が無く、そのためかアーチ全体が右側に偏位しています

形成後のTEKです

形成前に印象し、スペースにレジンを流して作ったものです
かなり偏位していることが分かります






一度目のセットのつもりの日は「平面をもっと・・・」という要望が出て、すんなりセットには至らず来週の水曜日にもう一度セットのつもりの日を迎えます。



e.max LT (3) へ







e.max LT (1)

私の勝手な想像ですが、HOほどではないにしても、HTやMOに比べ、LTはあまり使われていないのではないかと思っています。

e.max LTの臨床例は こちら

実際にサヤカでのインゴット消費も、そのほとんどがHTですし続いてMOです。
ひょっとしてサヤカでLTは私だけしか使っていないのでは?? 

今回のケースはラミネートとフルカバーが混在するケースです。





軽いテトラということもあり、LTを選択してみました



LTの場合は切端を内部構造状に形態修正してceramを築盛できますが、切端が削られておらず築盛出来ない場合は透明感の表現が非常に難しくなります。

e.maxシステムのプレスは非常に安定しているので
取説通り進めれば不可抗力による失敗の危険をほとんど感じません


LTのIPFモードはありませんが、速やかにプレスは完了します
サヤカでのe.max埋没は、ほぼ100%SPEEDを使用しています


これまでのセラミックとは違い、硬さに加え粘っこさがあるので、
スプルーカットも結構大変です

 コンタクト調整前なので写真では右の3番が特に浮き気味ですが、
1歯ごとの適合は全く問題ないレベルです



2012年3月28日水曜日

BEGO Eltropol 300

サヤカでは金属床フレームも基本は自社生産なので、色々な研磨剤を試したり、埋没~鋳造などをどうやれば適合しやすいかなどの実験も、程々にしていたりします。

金属床の電解研磨器も古いものを使用していましたが、今回サックスが上手い岩瀬の鈴木さんの計らいでi-cast【アイキャスト】の吉岡さんがBEGOのEltropol300を貸し出してくれました。



吉岡さんは井上アタッチメント時代からサヤカとしてお世話になっている方ですが、私の「吉岡さん象」は「帰ってきたウルトラマンのハヤタ隊員」です。
イケメン風で良い人風の、正義の味方を醸し出す雰囲気を持っています。(写真右端)
(実際どうなのかは知りませんが)



以前には「電解研磨無しで適合しないだろうか」という取り組みもし、それなりに充分な適合も出ていましたが、やはりどうしても手間が掛かります。

電解研磨だからこその「表面を溶解」させ「平滑化」させることにより、手による調整とは比べ物にならないほど簡単に、金属床を良い状態で適合させることができます。



口蓋の深い部分などの届きにくいポイントなどは、下の写真のように別の対極を設置でき、電気が流れやすいような工夫もできるようになっています。



実際の臨床模型でも試させていただきましたが、ワックスアップの段階で頭の中でで狙った抵抗感などが程好く実現できました。



要は加減の問題ですが、加減の具合が頭で描いたイメージと合うということだと思います。
逆に昔の電解研磨で困ることは、電解研磨してほしい部分が研磨されず、溶けてほしくない部分が溶けてしまう、などということもあります。


加減のしやすさ


ただ、BEGOですからね。 高いんです。

おいそれと買えるものじゃぁ~ありません。



2012年3月27日火曜日

歯科医院訪問

いつもは午後から伺っている「咬み合せ臨床実習」ですが、今日は矯正の先生の時間に合わせるということで、朝の9時半から浦和の歯科医院へ訪問してきました。

 下顎前方位で安定しない患者さんでしたが、少しの咬合調整を施し

 ストンと入り込めるほどになりました
もう少し調整が必要のようですが、今日は装置の調整と咬合調整で終わりでした







別の患者さんです



2級、臼歯低位、乱排をnon抜で整えていく道中です
ここ数か月にわたり、筋肉を伸ばす装置を付けてきました

積極的にアーチを広げると同時に、臼歯部を挙げ、前方回転を促します



今日は上顎のみブラケットの装着でした
エッチングしているところです

前歯部用のプラケット
デーモン風です

臼歯部は従来型の金属製のブラケット

ワイヤーは前歯部相当部が金色のものを装着

歯列が整ってくると後方からワイヤーの余りが飛び出てくる、食事の際の注意点、ブラケットが外れる可能性などの話を終え、今日の治療を区切りました。





2012年3月26日月曜日

週末 西と東

【西編】

土曜、日曜と私は大阪へ咬み合せセミナーに参加してきました。

いつもは会場に近い新大阪に安い宿をとるのですが、差し迫って宿を探したら既に新大阪近辺は満室だらけで、しかたなく大阪駅近くのホテルでの宿泊になりました。。。


大阪駅のダイマル前から撮影




一般的なセミナーとは違い、これまで学んできたことの一部を発表する場を与えられることもあるという少々変わったセミナーですが、だからこそ非常に解り合いやすいものがあります。

恒例になりつつある牛嶋先生の話も、前回の骨格の進化と抵抗形態の話に続き、今回のブラッシングの話もとても興味深かったです。いただいた歯ブラシを使って帰宅後に子供たちを実験台にして早速試させていただきました。

また山田先生の咬み合せと全身の関係についての発表は、リフレクソロジーの観点からも検証した内容という、私にとってはとても新鮮な内容で、頭の中で新たなシナプスが繋がったような気がしたほどで感動しました。




参加されている先生が手に入れたという「ゴム床」の義歯です。
お歯黒が施されていて、使用者が既婚者だったと分かります。
上顎の舌側は義歯修理されていることも分かり、貴重なものを見せていただけました。







【東編】

日曜日に弊社スタッフの野崎は、GC東京本社で催された「initial築盛セミナーinitial Zr-FS」に参加してきました。

12名という少人数制のセミナーで朝10時から17時まで行われ、セラミック関連では初心者の野崎は良い経験をさせてもらったと思います。

参加者に経験者が多い中、「着いていくのに精一杯だった」という感想も、独りでやっていては味わうことが出来ないものです。



またinitialはクリエーションを人口長石にしたものということもあり、今後の陶材としても興味を持っています。以前もサヤカで実際に使わせていただき、ワンボディに関しては特に問題も感じていませんでしたが、普通の技工士が盛る多色築盛がどのような感じに出来るのかを見てみたいというのもありました。

上顎6番は咬合面がジルコニアで、築盛はフェイシングタイプでした
こちらはワンベイク



2012年3月24日土曜日

アタッチメント義歯  その4

アタッチメント義歯 その1
アタッチメント義歯 その2
アタッチメント義歯 その3 からの続きです

咬合採得が終わり排列試適~完成へと進みます。

前装部に表面処理を施し、レジンを築盛していきます


今年の8月ころには、このブログでも突っ込んだ話として展開しますが。。。
この症例では前歯部がメタルボンドでアタッチメント部が硬質レジン前装冠、義歯部は人工歯になります。材料によって色の表記が異なり、また、材料によってメーカーの色づくりが異なります。
一口腔内を作っていくときに、複数の材料が混在するときは、作る人の感覚を頼りにする以外方法がありません。


ピックアップ印象なので、支台歯相当部はパターンレジンになります

模型上、咬合面観

陶材前装と硬質レジン前装のバランスの確認

 
排列試適仕様

これまでのチェアーサイド、技工サイドでのエラーがなければ、
試適は確認作業と微調整になります

流し込み完了


以前は流し込みレジンの選択の余地があまりなく、そのため品質もどうかな?というものでしたが、今は良い商品があり手法によっては精度を上げたり硬度をあげたりなどの調整も可能で、口腔内環境でも「変質したのでは?」と思ってしまうほど驚くような変色などもなくなりました。



模型上での完成

ハンドルの形状は先生の指示によるものです



製作責任  恩田
その他 佐野、小林


現在は下顎の平面に合わせ上顎トターレを製作中です。
ファイナルを迎えたら紹介します。