2012年7月31日火曜日

オールオンフォー・トータルソリューションwithチームアプローチ その2

その1は こちら

二日目の日曜日ですが、私は第二十回の日本歯科色彩学会へ出席のため、こちらのセミナーには参加出来ませんでした。

ここからは、一緒に参加した弊社スタッフ恩田のレポートになります。


二日目、29日のレポートです。


初日はAll on 4の概要とオペの術式(フラップド)の解説が主でしたが、
2日目は低侵襲のオペが可能な「ノーベルガイド」「ノーベルクリニシャン」を使用した、
ガイデットサージェリーによるノンフラップオペレーションの解説、実習でした。
ガイデットサージェリーの有効性
フラップを開けても骨の表層しか見られない。
骨の中を見ることができるのはコンピュータによる3Dの診断でしか無いということ。


鼻腔底やサイナスの方から(頭蓋骨の内側から)観察でき、皮質骨、海面骨や、神経の走行など危険部位も診断できる。
5年後にはトラブル回避に必須なツールになる。
フラップレスでオペができるとういこと→患者への侵襲が少ない→治癒が早い
基本的にGBRなどは行わず、(グラフトレス)ガイデットサージェリーで骨の良いところにしかもフラップレスで埋入するためオペが1回で済む。
ラジオグラフィックガイドやサージガイドを利用しスムーズで安全なオペ。
即時荷重できる→オペの日に全顎的なテンポラリーも入り、食事も社会復帰もできる。→遠方からの患者にも対応できるということ。
サイナスを開けてリフトし、ディレイドでオペをする場合もラテラルで大きくサイナスをフラップしなくてもよい。
ノーベルガイドを使えばバーティカルで簡単にオペができるということ→治癒が早く腫れも少ない。

All on 4では24時間以内にイミディエイトを達成すること。35Nの初期固定を達成する。(All on 4の定義)
モディファイドアダプションテクニックで、バイコーティカルに確実に埋入し、イミディエイトで35Nを達成しなければならない。

ここに全てがあるような気がします。
そのためにどうするか? ガイデットサージェリーにしましょう。ということ。




三好先生は「建築物を立てるのに設計図は必要だろ、それとおんなじなんだよ。」と頻繁におっしゃっていました。
最終的な建物の外形(補綴物)を作るのに、必要な場所に柱(インプラント)が必要だ。その柱を立てる場所は安定した地面(骨)に立てなければならない。
よく調べて、設計図(プランニング)をすることは当然なことだ。
設計図もなしに、勘と経験測でオペをするのは歯医者のエゴに過ぎない、それは技工士と患者を泣かすことになる・・・。



非常に説得力あるように感じました。

そのほか、実際の臨床ケースを見ながら、実際の技工のポイントを教えていただき、大変参考になりました。
このようなハンズオンセミナーの醍醐味です。



三好先生は穏やかな口調で話上手、的確に物事を伝えてくれます。講習を受けると虜になり、三好先生を慕うようになる、というのを聞いていましたが、
すごくわかるような気がします。
懇親会の姿も含めて・・・、僕もファンになりました。
次回は三好先生のノーベルクリニシャンのプランニングセミナーに参加してみたいと思います。



おつかれさまでした

2012年7月30日月曜日

オールオンフォー・トータルソリューションwithチームアプローチ

土曜日・日曜日と、インプラントセンター21主催のオールオンフォー・コースに出席してきました。

28日土曜日は、朝からAll-on-4コンセプトとして、基本術式と治療の流れをスライドによる講義で学びました。イミディエートにおける咬合付与の仕方などは、その理由と手法といった、かなり具体的な話も聞くことができ、今日からの臨床に生かせるものと感じました。




外科術式におけるイミディエートを成功させるための骨質別ドリリングテクニックでは、医院サイドのドリリンング~インプラント埋入を疑似体験でき、その緊張感と責任を、ほんの僅かでしょうが感じることが出来たと思っています。



埋入前のドリリンングに使うドリルと、その使用方法、埋入時に気を付けることなどをデモで見せていただいて、すぐにエポキシの顎骨模型で実習します。
ラウンドバーで埋入ポイントを記し、2㎜のドリルから2.4㎜、2.7㎜と太さと深度を変えながら、最終的には徒手によるトルクレンチでのモディファイド・アダプテーションを得るという ものです。

実際に模型でやらせていただくと、20Nで深く埋入しすぎてしまったり、場所によっては目論み通り35Nで絶妙な位置で止まったりと、これが本当の臨床だったらと思うと複雑な思いになったりもしましたが、バイーコーティカルでの35Nの固定を得るためには、正確な診査診断と正確なガイデッドサージェリーが本当に大切だということを、改めて理解できました。



そうなると、ラジオグラフィックガイドの責任を強く感じるとともに、製作における取組も仕切り直さなければなりません。シッカリと採れていない模型に、それなりに作っていたのでは、これまでのサージカルステントと大差なく、イミディエートを目標としたガイデッドサージェリーとは名ばかりになってしまいます。






三好先生が総指揮を務めているのではないかと思いますが、ハンズオンセミナーとして用意される模型群は院内ラボの技工士さんが準備しているそうです。


 これは・・・エポキシ模型や義歯などを複数個作らなければならず、またそれらのクオリティも程々出さなくてはならないという、かなり大変な準備だと思います。
担当の技工士さんに「これは大変な作業ですね」と聞いたら「三か月掛かりました・・・」と言っていました。

2012年7月28日土曜日

三好先生 All on 4 講習会

品川で現在進行中です。

大竹先生に「皆も経験だと思って、やってごらん」と、
ドリリングから埋入を模型上で体験させていただきました。


後日レポートは   こちらから

NOBEL BIOCARE Symposium 2012 TOKYO


ノーベルバイオケア・シンポジウム2012 に参加した、恩田のレポートです。




7月16日 六本木ミッドタウン

毎年行われるノーベルバイオケアのイベントに参加してきました。

連休の最終日、猛暑の中、かなりの数のノーベルユーザーが歯科医師、技工士、衛生士を問わず、
それぞれの興味の対象を求めて集まりました。

ノーベルの社員さんたちも総出で、受付を入ると、営業の方々が並んで挨拶をしてくれました。
おなじみの顔がちらほら・・・早速捕まりました。



毎年、最新のエビデンスや、最新技術

「こんなことができるようになりました」や「リリース予定です。」という声が聞けるホットな場所でもあります。

今回、オプションプロラムのハンズオンセミナーを申し込んだので一般口演はあまり聞けなかったのですが、

全体の印象としては、

「安全にオペするために知っておきたいこと」や「予後、メンテナンス」や「良好な予後を得るための形態」

など

トラブル回避や、オペ後上部構造を装着してから安定した予後を経過するためにどうするか、というようなテーマが多かったような気がしました。

近年のインプラント治療に対する逆風に向かうテーマかもしれません。

素晴らしい症例や華々しい審美ケースばかりでなく、

例えば、下顎骨の舌側穿孔は動脈を傷つけ、口底部出血などが起こる。4−4はパーフォレーションしやすい。などの背筋が寒くなるような実例や

トラブルを回避するためにはガイデットサージェリーが大変有効なこと、ノーベルクリニシャンを使用したケースの紹介。

ノーベルクリニシャンは患者説明→トラブル回避(訴訟?)にも使えるという宣伝も含めつつ、

また、トラブルが起こってしまった時、いつ救急車を呼ぶか、などリアルな話もありました。


本当は上部構造も含めた話もあったようなので、技工士の立場から聞きたい話もありましたが、申し込んんでいたハンズオン・ワークショップへ


プロセラ・ダブルスキャンブリッジの紹介


多くの臨床家が待ち望んでいた、ジェニオンのダブルスキャンができるようになりました、とのことです。リリースも今月末とかなりリアルな情報が聞けました。

実際にダブルスキャンを説明を交え実演してくださいました。

本当に簡単だな、って印象を受けました。3,4ユニットだとオーダーまで20分くらいでできるようです。

今までは他社がダブルスキャンが出来る中、ノーベルは一貫して「CADなのだから人の手でWAXUPはしない方向で」とポリシーを貫いていましたがようやく市場の要望に応えた形です。

確かにCADなのだから、画面上ですべて完結させるべきだし、そうやったほうが将来性あるのでしょうが、現在臨床家でバリバリWAXUPできる人は当然WAXUPしてスキャンしたほうが早いと思われます。

細かいデザイン、フレームにリバースカーブを与えたり、サポート形態を付与して複雑なフィニッシングラインを与える時などは有効かもしれません。
かつてのメタルボンドの延長の技術で破折を防ぐデザインを思うように付与できるのは良いと思います。

しかし、かつてのアナログ部分をいい意味で融合しているとも言えますが、本来であるならば、ノーベルのポリシーを通して、WAXUPせずに簡単に画面上で複雑なデザインができるように
ソフトを改良していってほしいな、と個人的には思います。

今の若い人はPCに慣れ親しんでいるから、技工学校で操作を覚えれば即、臨床でフレームやクラウンが作れる、そんな風になれば業界全体は楽になるだろうな、と思います。

そのほか、スキャナーを持っていないラボが外注でプロセラ・ネットワークラボにフレームを発注する場合、思ってたようなデザインで出来上がってこなかったり、そんなこともあるかもしれません。

そのような時、WAXUPしたものを持ち込めるようになれば、そのようなトラブルもなくなるでしょう。

また、WAXクラウンを読み込めば精密なジルコニアのフルカントァーのクラウンができるようになります。その点ではようやく他社に追いついたいい面もあります。



CAD/CAMをはじめ機械の進歩は止まりません。導入したのはいいが有効に使えず、眠らせたまま前時代の機械になってしまうなんてよく聞きますが、常にバージョンアップについて行って、

時代に取り残されないようにしなければなりません。

新しいものを受け入れ、末端の患者さんに本当の意味でいいもの、安全を提供し、地域の医療に貢献できるように今後もアンテナを張っていきたいと思います。



恩田典之

2012年7月26日木曜日

平和ボケ

生き物は皆そうなのかもしれませんが、私も「喉元過ぎれば」のように、仕事以外では平和ボケ風に生きている時間の方が多いように思います。

昨日の午前中、ちょっとした用事で知り合いの方に電話をしたところ、通じませんでした。
いつものことだと電話を切りましたが、すぐに折り返して掛かってきたので出ると、電話の持ち主の奥さんが「すいません、今朝主人が庭で転んで、頭を打って意識がなくなってしまって・・・今は救急車で病院に来て、少し意識が戻ったんですが・・・」とのこと。

私の周囲には60代、70代で精力的に頑張っている方々が多く、そういった方々は何故だか間違いなく私以上に元気です。

昨日は福岡、今日は大阪、明日は北海道で休日はジムで汗を流し。。。。
まぁ私だったら絶対無理ですw

田中先生も、ご自身は矯正を学ぶんだといってデーモンのセミナーに通いつつ、後進のためにと「顎関節症の治療法」のセミナーを開催し、休みはゴルフで汗を流して、毎日ブログの更新しながら夜中まで「顎関節症」についての執筆活動と。。。やはり、私なら絶対無理です。

60代、70代というと円熟した人生を送り人々の目標になる時でもあります。
私の周囲の60代、70代の方々は、私からみたら雲上の存在であり、何でも軽やかに見事に事をこなす方々で、憧れであり目標です。そういった人だからこそ、やるべき事もあり、やりたいこともありと、日々多忙にもなるのかもしれません。




でも、だからこそ、少しだけ、ご自愛いただければと思います。









2012年7月25日水曜日

技工の行く末について

技工の行く末という題で少々話を展開していきましたが、私が人を前にして口頭で言う内容に比べると、内容も薄いですしトーンダウンもしています。読み返しても歯切れが悪いですw

エゲツナイ現実の話もおりまぜながら、それでも国家としての医業のありかたを訴え、機械化が進んだために「仕事が減る層」がどんな仕事をしている層なのか、残るであろう、残らざるをえないであろう層がどういう層なのかなどと、エラそうに具体的に不安を煽るような話を展開しすぎると、文章では完結させるのが面倒になります。

以前にも書きましたが、新人歯科医師が最新の技術と知識を持って卒業してくる国では、既存の歯科医院も本当に意味で必死になるでしょうが、日本の歯科大学を卒業してくる歯科医師に対して既存の歯科医師の先生たちは一般的にどういう評価しているのか?を考えれば、日本の歯科界全体の歩む速度も知れています。そこら辺りも「言い過ぎ注意報」が出ます。

喋りならもっと広く深く高く展開し、それでも最後は収束させることもできますが、文章では棘も残って面倒なので、あしからずお察しください。



さて、昨日の夜のことですが、私が会社の玄関付近にいるとき、歩道を自転車で走行してきた初老の男性が、弊社に隣接する歩道の段差のモノ凄さに驚き、憤慨した様子で私に近づいてきました。

「あそこは危ないね!」

「そうですね、たまに前方回転して転ぶ人もいるくらいです」

「ここの住所を教えてくれ、何とかしろって役所に言うから!」

「分かりました。。。」


簡単に書くとこういうことがあったのですが、実際は40分くらいの講義を聞かされました。
年金の話、税金の話、民主党の話などなど。

正論だなと思って「そうですね」「そうですね」と話を聞いていましたが、ふと、その初老の男性が乗っている自転車を見ると、ライトが付いていませんでしたw

「ところで、この自転車はライトが付いていませんね?」

というと

「お!そうだ、今日は忘れて来たんだ」と言って、そそくさと帰っていきました。

そして今日、役所の人が弊社に訪ねてきて、段差のある場所を確認し、標識を地面に固定していってくれました。

役所も「急ぎで」があるようです。










週末のこと

土曜日のことで追加事項ですが、実は田中先生のところへお邪魔する時間が当初の予定より30分遅くなったため、行こう行こうと思っていたけれどずっと行けなかった銀座に寄り道しました。

目的の店はあまり客がいない店で、私が行く3階のフロアーなどはいつも客がいません。
その日もやはり客は私一人で、目的の商品を購入して『お釣り』を待っていました。
すると、エスカレーターから一人の男性が上がってくるではありませんか。

おぉ、珍しい、と思ってチラ見すると・・・
なんと、阪大の丸○先生でしたw

意外といっては大変失礼ですが、コースを受講させていただいたのが
もう5年以上前のことだったと思いますが、あまりにお変わりないご様子でビックリしました。

丸○咬合療法の複数コースを出させていただいているということもあり、まさかスルーできるはずもなく「先生、お久しぶりです・・・」と御挨拶。

「あぁ、名前は出てこないけど、君知っている」と先生w
「小林です。その節はお世話になりました。でも先生、こんなところで何ですね」と私
「君も何か買ったようだね」と先生・・・

つい先日TV出演された話、出版された本の話、参考にさせていただいている「チャート表」の話などをすると
「良い悪いはともかく、歯科に対する一般の人の目線に対して一石を投じたでしょ?」と先生。

あまりに客観的で謙虚な先生自身の御意見に、心の底から「ありがとうございました」と言って頭をさげました。

丸○先生はかっこ良かったです。


さて、曜日は変わって

日曜日は毎月第三日曜日に西大宮で催されている「咬み合わせ勉強会」に参加してきました。いつも通り休日のフルタイムで17時までですが、大宮での勉強会なので地理的にとても助かります。

今回の勉強会では、新潟、東京、横浜の先生と、大阪、東京の技工士さんが加わり、ハンズオンも伴った実りある勉強会になりましたが、大阪からいらした技工士さんの帰路を考えると毎月の第四日曜の自分と被り、少々気の毒になりました。。。お疲れさまでした。





2012年7月23日月曜日

田中武先生 来社

先週の水曜日ですが、青山田中歯科医院の田中武先生がサヤカにいらしてくださいました。

8月11日、12日の両日にわたり、北品川の「カボ研修室」で催されるハンズオンセミナー
「新しい顎関節症の考え方と治療法」-筋骨格安定位からのアプローチ-で使用される模型の選択と製作方法、数種類のスプリント製作の詳細について、その材料、厚みなどの細かな指示をいただきました。

いらしてすぐ、進行中の臨床ケースについて指示をいただいているところです。

 
実は田中先生のHPなどを通じて咬み合わせについて勉強していた弊社スタッフ野口ですが、自身の咬み合わせと首の凝りを改善するため、見よう見まねで3Dスプリントを作っていて、以前から「一度青山に行って、田中先生に診てもらいたい」と言っていました。


そんなところに田中先生がいらしたということで、今回は大変恐縮ですが
ドップリと甘えさせていただき、事情を説明して野口を診てもらいました。


田中先生が弊社にいらしてくださった内容は、田中先生ご自身のブログでも書かれています。
こちら



そして、曜日は変わって土曜日。
今度は臨床ケースのセット後の調整に立ち会いをさせていただくため、私が青山田中歯科医院へ伺ってきました。

午後2時半過ぎにお伺いし、医院を出たのが6時前後だったと思いますが、その後またまた先生のご自宅にお邪魔し、そこでなんと「コンプリートデンチャーの設計」の原本をお借りしてしまいました。




 結構な年代物で重厚感漂がただよっていて、本を開くだけでも緊張してしまいます。

今回は事情があってお借りしましたが、汚さないよう、傷つけないよう充分注意しながら使わせていただきます。。。



2012年7月20日金曜日

『QDT』クインテッセンス出版株式会社

今日は夕方にクインテッセンス出版株式会社から、「QDT Art & Practice」副編集長の若林さんと、編集部の渡辺さんが取材にみえました。

柴田勝家風の威圧感のある若林さんと、垂れ目じゃないのに垂れ目風で優しそうな面持ちの渡辺さんですが、さすがに雑誌の編集を手掛けるお仕事柄からか、挨拶+αの会話の中にも、物腰の柔らかい話し上手で聞き上手な雰囲気をもたれていました。

きっと佐野の滑舌も軽やかになってしまい、いつもより多く喋ったのではないかと思います。。。






佐野宛で届いたので、最初はドラムセットかと思いましたが・・・
午前中に届いた撮影機材からは「さすがQDT」を思わせるプロの匂いが漂っていました


今回はQDT10月号の『step ahead』に弊社の佐野を掲載してくださるということで、写真撮影、インタビューなどをしていただきましたが、期日が迫るなかQDTに掲載する臨床写真の選択もしなければならず、来月中頃までは佐野の緊張も続くのではと思います。

常にプレッシャーを受けていることを心地良く感じる佐野ですが、右も左も分からないまま神山先生とJDAに参加させていただきながらも、謙虚で真面目な頑張り屋という性格も手伝ってか、最近では日向で活躍できる場を与えていただいています。




(昨日から待て待てと言ってナンですが・・・)

QDT10月号 震えてお待ちください

2012年7月19日木曜日

週末からのアレコレ (木曜ですが)

先週末は恩田が、六本木の東京ミッドタウンで催された「Nobel Biocare Symposium 2012」に参加してきました。

私が参加した梅田のレポートはコチラ

東京もかなりの盛況だったようで、このブログを見られている方も沢山参加されたのではないかと思います。

間もなくレポートが上がってきますので、震えてお待ちください。

ミス・ノーベル




さて私はといえば、アレやコレやの準備だ何だと慌ただしくすごしていましたが、やらなければならないことが山積し続けているため、やはり本が進みます(w

「徳川家康」は5巻目まで進み、浅井長政、朝倉義景あたりを漂っています。
司馬遼太郎もそうですが、程好く装飾された人物像が絶妙で、過ぎ去った歴史を色鮮やかに再現しています。





火曜日は浦和の歯科医院で「咬み合わせ臨床実習会」へ参加してきました。

14時からのスタートですが、患者さんは30分に1人のペースで19時半まで休みなしという、内容からすればかなりハードなスケジュールです。
20時過ぎに終わってからは一日の反省会をし、次回からの診療に生かしていきます。

 ラボへ戻るときは、本当にフ~ラフラです。。。






2012年7月18日水曜日

技工の行く末  その5

歯科技工とはどういう仕事だろうといへば

「元の形態、あるべき形態を回復する仕事」
「削ったところを完全に覆い、元あった形態を回復し、色調形態とも周辺と調和させる仕事」

まぁそんなような感じでしょうか。
「作る」ということに観点を置いた場合は、です。

ですから機械化になっても、それらは出来るだろうとも思います。
適合や色調などの客観的評価も、求められるレベルにもよりますが、いずれはアベレージで人は負ける日もくるのではないでしょうか。




私見として少々偉そうにいわせていただければ、歯科技工士の仕事には、作ることは当然として、その取り組み自体には「歯科医師と患者の間に存在し、双方の要望を可及的に満たす仕事」というモノがあるのではないかと思っています。

「作る」ということは「作れる準備」を整えたうえで行われる行為であって、例えばJPIの重村氏も「模型作り」で7~8割の勝負はついている、とも言っていました。


保険のクラウンブリッジで、歯科技工士が支台歯の模型に何の調整もせずマージンをフィットさせた技工物が、実際に患者さんの支台歯に入るのか?といえば、入らないだろうなと思うケースが沢山あります。

各支台のアンダーカット

 平行性

支台 表面の凹凸

 支台表面の凹凸

表面の荒れ、マージン修正


アンダーカットがあり、支台歯の細かな凸凹あり、削ってないのにマージンは下まで、表面一層削ってるだけなのに「低く作って」、どうやってセットするんだろうと首を傾げたくなるような平行性のないBrの支台歯、隣在歯辺縁隆線より高い支台歯などなど。


保険の(とは限りませんが)模型を見ていると、こういった問題が少なくありません。




技工士は歯科技工というものが、こういった無理難題が日常的に沢山存在するということを臨床に出て初めて知り、経験という名のもとに見事に解決(?)できる術を身に着け、先生と患者さん双方が納得いく落としドコロを見極められるようになる、という部分もあると思います。










印象~石膏という工程自体が技術や意識の差を形にしてしまうものであり、その工程が減る分だけ不確定要素が減るという見方もあります。


それでも、印象~石膏の工程は除外して考え、模型から想像する実際の口腔内を想定し、現実的に「もし、これらを全て口腔内スキャナーで撮影して半製品の製作を依頼した場合、CAMセンターは受けるのか?」ということを考えると、まず絶対受けないだろうというケースが多く存在します。




平行性だけではなく、歯面の凸凹でアンダーカットがあれば「製作不可」ですし、CAMセンター側はデータ内容が製作可能範囲に入るまで、再形成、再スキャンを要求することになります。 形成が「ソフトウェアが認める製作可能範囲」なのか?という問題は、機械化になればシビアになりますし、かなりの確率で「製作不可」になり「再形成」になるのではないかと思います。


ちなみに、上に掲載した4枚のケースをジェニオン経由でフレーム製作する場合、スキャン前に相当量の修正を施さなければ「製作」できません。


現段階ではスキャナーで読み込んだモノを「元データ」とし、
「元データ」に人の手を加えることを許しません。
適合を緩く、キツく
コンタクトを強く、弱く
咬合を強く、緩く
などの調整はパソコン上で調整可能ですが・・・
スキャン後に【アンダーカット部を修正する】
【マージン位置を下げる・滑らかにする】
等のことは、元データの改ざんになり責任の所在が不明確になるため、
パソコン上で出来ないようになっています。 
 特定のインプラント上部構造などの製作を除けば、
殆どのケースは技工士の手を加えないと「製作不可」になります。
(例えばこの写真では、マージンより上の赤い部分はアンダーカット)



【注】ノーベルのジェニオン
 近々更新される最新バージョンでは、コーヌス・シュリッテンのようにテーパーの合計範囲内で着脱方向の途中変更が可能になるそうです。アンダーカットの問題は少し緩くなるようです。





弊社ではe.max-CADを半焼結でお預かりしクリスタライゼーションとステインを施す仕事をいただいていますが、以前に比べて最近ではその数が随分と減りました。
今その歯科医院からは、e.max-CADよりe.maxプレスの仕事の方が多くなりました。

1、医院内で全て完了 
2、医院→クラウドCAMセンター→医院
3、医院→クラウドCAMセンター→ラボ→医院 
4、医院→ラボ→クラウドCAMセンター→ラボ→医院
5、医院→ラボ→CAMセンター→ラボ→医院 

もし、口腔内スキャナの普及率が上がった場合、その普及率の上昇とともに1、2、3のラインが一時的には増える傾向をみせるかもしれませんが、前述のことから考えると、そう簡単に物事が目論み通り進んでいくほど甘くはないのではないかと思っています。

ラボの存在は、例えその先が手技で作るモノであろうと、中間工程を機械任せで作るモノであろうと、医院サイドがやり過ごすエラーを補正でき、患者さんの要望を満たすプラスαを施せる、重要な存在であると考えています。

さらにいうなら、今後さらに注目されるであろう「咬み合わせ」への取り組みや、これまでも沢山語られ続けている「技工士の模型を読む力」から導き出される補綴物の価値(内容)などは、単に「空間を埋めるだけの補綴物」とは全く異なるモノとも思っていますし、CT及び、周辺機材の進化に伴い、その取り組み方によっては、逆に世間から「技工士の存在」は見直されてくるかもしれないとさえ感じています。



技工の行く末を危ぶみ、CAD/CAMについては結構な時間を割いて情報収集し、世界の流れ、各メーカー、企業の考え、方向性などについて、薄ぼんやりながらもイメージできたつもりです。

アメリカの大型ラボでは機械化を推し進め、「従業員数の少なさに対する売上高」を自慢するようになったと聞きます。日本では補綴治療の8割を占める「保険」への進出を目論むCAD/CAM軍団の最大の壁は、日本の保険制度であり、日本の歯科医師ではないかと思います。
日本の技工業界がアメリカの一部のラボと同じようになる日もくるかもしれませんが、近い将来のことではないと思いますし、近い将来になってはいけないとも思います。
訴訟社会のアメリカでは、「咬合と全身の関係は無い」としています。ひとたび「関係ある」とすると、とんでもない訴訟が歯科界を襲うからだそうです。


学ぶほどに、10年程度の近い将来どうなるとも感じなくなりました。

しっかりと足元見据えて頑張っていきます。





2012年7月16日月曜日

技工の行く末  その4



技工の行く末 その3でいったような、「機械が全て作ってくれる」というのは進化の方向としては間違いないだろうと思っています。


もしも、それらが全て可能になったら、それこそ「今の」技工士学校教育もかなりの部分が必要なくなるかもしれませんし、器材、材料なども、そのほとんどが必要のないモノになるのかもしれません。


依然として離職率も7割だ8割だと高いまま、今年度の東京都の新卒技工士登録数は、これまで最高で1,000人単位だったものが300人前後と、これまでに比べてかなり減ったとも聞きました。


言葉巧みにやりがいのある仕事だと嘯いても、ネットで容赦なくその現実を晒される時代なので、技工士学校の新入生集めや各社の優秀な人材確保も、今後はますます厳しくなるのではないかと思います。


そうなると全体の流れも機械化ウェルカムというより、機械化しなければ対応できないということになるかもしれません。
日本での最先端技工を手掛けるあるラボの社長さんと話したときも、「最近は気骨のある若いやつが減ったし、そのてん機械は文句言わないですし、能力差もありませんし、寝ずに働いてくれるから、数千万掛けて新たにCAD/CAM導入します」と言っていました。






機械化、いわゆるCAD/CAM化といっても、現在のところ数パターンありますね。
1、医院内で全て完了 (シロナ)
2、医院→クラウドCAMセンター→医院(シロナなど)
3、医院→クラウドCAMセンター→ラボ→医院 (大信貿易・シロナ?)
4、医院→ラボ→クラウドCAMセンター→ラボ→医院(大信貿易)
5、医院→ラボ→CAMセンター→ラボ→医院 (ラボスキャナーの各社)
など


2、3はクラウドCAMセンターへの注文権利取得として、口腔内スキャナー、ラボ用スキャナーの購入などがあるものと思います。
5のCAMセンターはCAM機を持っているラボは、ラボ内完結です。
4、5の違いは資本力の違いによる機材の能力差で、扱える材料の種類や精度に差があるでしょう。


また、企業としての各社の取り組みも見ると。。。
【ラボに影響】
「壊れない材料」「どんなケースでも対応可能」という魅力を武器に、
しょーもない一部の会社による、戦略という名の節操のない抱え込み、取り込みなどもあり、共に頑張ろうなどと握手をしたつもりが、後ろを向いて舌を出されているラボも少なくないのかもしれませんし、何度やっても懲りないこういった会社は、今後も事あるごとに医院との直結を画策しつづけるものと思っています。




【メーカー、ディーラーに影響】
クラウドCAMセンターへの権利獲得としてスキャナーを購入し、世界のCAMセンターとやり取りができるという現状ではピンとこないこのラインは、納期の問題が解決できるようになれば、かなり将来性のあるラインではないかと思っています。
ただ心配なのは、裾野を広げる努力をした会社を、裾野が広がれば広がるほど邪魔に感じてくるのがCAMセンターだろうな、ということです。
将来的には中間を通すメリットを、ラボ、CAMセンターの双方に作れなければ、どこよりもデジタル化を進めたために、デジタル化のメリットによって自らが滅ぼされるという結果になりかねません。
口腔内スキャナーからダイレクトにCAMセンターに模型と半製品が発注されるようになると、前述したように、印象材、石膏などは売れなくなります。


こういった企業の持つ宿命のようなものによって、自他ともに揺さぶられ、図らずも淘汰されてしまうものが続出するのかもしれません。それが何処なのか。





さて、上に書いた、4、5のラボの存在意義が問題になります。
そこに存在の意味があれば、矢印の後ろはCAD/CAMでもワックスアップ〜鋳造でも、どっちでも好い事になります。もちろんそうなれば、メーカーやディーラーさんも、今までの取り組みを継続していってもらわなければなりません。


ここからは非常に書きづらいことを書かなければなりません。。。




つづく



2012年7月13日金曜日

技工の行く末  その3


歯科技工士は製造業か?などとは昔から議論されることでもありますが、作る行為そのものは製造業だろうと思います。



製造業だから少ない時間で多く製造することの効率を重視し、大きなラボほど分業、流れ作業などを推し進め、だからこそ今後は増々の機械化なのでしょう。



最近のデータでは、日本でのジェニオン販売数は世界で2位だそうです。

CAD/CAMでアレが出来るコレが出来ると紙面を賑わせば、取り残されてはいけないと購入する人が増えているのですかね??



CAD/CAMの外注技工が既に多くあって、先を見据えてCADなどを扱う気があれば良いですが、そういった仕事は殆どないけど、スキャナーを買ってから営業して・・・などと考えていると、かなりの確率で埃をかぶるだけの高い買い物になるとも聞きます。



そんな流れを見ていると、将来は全ての技工はCAD/CAMに置き換わってしまうのでは?と心配になってしまいます。どれだけブランド力を押し出そうとしても、世界の亀山も最期はサムスンには勝てません。シャープも年初来最安値を更新中でしょうか。



CAD/CAMメーカーさんが言いますね?

「それでも最後は技工士さんが調整するからこそ・・・」みたいなこと。

あれは全部ウソです。 だと思っています。

パソコンの仮想咬合器上で調整も出来るようになっていますし、適合も含め今後はパターンを増やして精度を増していくだけのことですし、なにしろそれらの開発者たちは果てしない手作業への侵食こそが生きる道そのものだからです。



口腔内スキャンが日本で普及したら・・・

歯科医院から口腔内データが、クラウドで待ち受ける世界のCAMセンターの中から一番安くて最短の納期のところを選び、模型と半完成品が送られてきます。

この「半製品」も今はまだ「半製品」ですが、いずれは「限りなく完成品に近い品」になることは想像に難しくありません。 既にメタルクラウンからセラミッククラウン、ブリッジもTEKも、金属床風のエンプラ床も、殆ど機械が作れていますし、ソフトの進化による完成物の精度の向上は日進月歩でしょうから「適合の感触」さえ「感触ー1」「感触ー2」などの選択が出来てしまいそうです。

そうなると、せっかくラボでスキャナー持ってても活躍の場が無くなります。
データだけ医院から直接CAMセンターですから。

材料業界も大変です。
印象材が要りませんし、石膏も必要なくなります。。。






技工の行く末を考えるとき、例えば
「10年後は今の技工所の8割以上は潰れる」などと言うメーカーの人もいます。






さて、それは本当なのでしょうか。


つづく



2012年7月12日木曜日

技工の行く末  その2

core3dから送られてくる模型ですが、材質の詳細は明らかにされていないそうです。


さすがのバシコ氏も「石膏とレジンのハイブリッド材料としか聞いていません」とのこと


 実際に触ってみると、エポキシ樹脂とも石膏とも違う、確かにそれらの中間といった感触です。
また、軽いながらも、非常にシッカリした質感でもありました。





ニッシンの顎模型は皆さんご存知だと思いますが、構造的にはそれに似ています。
写真のように、最初から分割模型になって出来上がるものですが、母模型と台模型の精度は文句のつけようがありません。何のブレもなくシッカリ戻ります。

もちろんこれらの模型を使ってフレーム材を製作するわけではないので、台の戻りがどうのという評価をしたところで意味はありません。


模型が送られてきますが

その時には、フレーム材、あるいは半焼結材料が適合して納品されます

ラボや医院などでは、必要があれば専用咬合器に装着して
その先の作業を薦めます


コバルトはシンタリングということですが、こちらはまだチョットなといった感じです

シンタリングしてカットした状態

こちらはインプラント上部構造用フレーム








何時の時代も同じかもしれませんが、荒れ狂う世の中を平静を装って生き抜くというのも、何かとシンドイのかもしれません。


捌く能力にもよりましょうが、心労が重なると、頭皮、および毛根に悪影響が出るようです。
皆さんも気を付けましょう。