8月22日 14:00 田中貴金属発表 地金価格
- 金 4,891円 ( 前日比 +113円 )
- 白金 5,000円 ( 前日比 +113円 )
- 銀 116.13円 ( 前日比 +7.46円 )
先日の
盆休みからの続きですが。。。
NYでは高値からの調整が入り一息入った感のあと、更なる高値を目指して利益確定と交錯しながら上へ推移しているようです。先進諸国のニュースでは良い話もなく、BBCでも円高と復興の影響で、年内の日本の経済を悲観していると伝えていますし、現実に先週からの帝国データバンクの発表では国内での倒産件数が2008年以降最多になる勢いで推移していると発表しています。
技工業界とか歯科界とかではなく、日本という括りでみて、我々を取り巻く環境は、悪くなることはあっても良くなることは無いのではなかろうか?などと思ってしまいます。
何がどうという明確なモノはないながらも、一種のシビライゼーションが近づいているのかもなぁなどと考えています。以前から例に出す、水が熱くなる水槽に入ったカエルの気分です。
全体が少しずつ、事あるごとに、段々と疲弊していく、という感じでしょうか。
『 安売りは、誰のためにもならない 』
ということは、マトモな社会の営みを考えれば分かることです。
安売りで提供される医療の内容は、患者さんのためになりますか?
その治療価格で医院スタッフや関係業者に充分な対価が支払えますか?
その技工料金で技工所がマトモに運営できますか?
働くスタッフの社会保険、退職金など、あたりまえの社会保障制度を保てますか?
何かを犠牲にするとしたら、それはなぜですか?
これまで何をどう取り組んできたのか?にもよるところがあります。コーヒー一杯の料金が変わり、ラーメン一杯の料金が変わり、タクシーの初乗り運賃が変わるなか、患者さんからのチャージを何十年も据え置きにし、技工料金を叩いて生活の質を保っていたというならば、あるいは技工所に勤めるスタッフの社会保障もおざなりにし、勉強だナンダと体の良いことを言うだけ言って何も変わらない言い訳だらけの技工所経営で、隣の技工所がこの料金だから、などといった営業姿勢だったのなら、未来は暗いのではないかと思います。
私が卒業して技工士になりたての頃、技工料金のことはよく分かっていませんでしたし、今も学外臨床実習に来る若者(免許取得者)や、学生に「技工物の料金っていくらくらいか知っている?」と聞くと、ほとんどの若者は何も分かっていません。
技工士の現実を教えると多くの若者は、将来の自分たちが向かっている社会がいかに厳しいものであるかを初めて知り、何をどうしていいのか分からず黙ってしまいます。
学校では技工物の作り方は教わりますが、技工士の現状と生きていく術は教えてもらえません。
歯科医師の現状も相当厳しものがあると思います。
30年前のように、歯医者になったら毎週ゴルフに行ってベンツに乗る、というわけにはいきません。
歯科医師の免許を取るのも相当なお金が必要ですし、学び始めて何年後にマトモに収入があるのか?を考えると、みんながみんなというのも変ですが、やはりそれ相応の見返りがなければおかしいとも言えます。
それまでは他業種に比べ裕福に生活できたためか、歯科医師・歯科技工士は時代の流れに合わせた自由診療価格の緩やかな引き上げに取り組まず、ある時点からは逆転現象に入り、今では苦しい環境に陥っているという一面もあると思います。
技工料金を上げようとする技工所を「切る」という歯科医院は多いですね。
私が勤務する歯科医院に出入りしていた先輩技工士も、インレー、クラウンの料金を僅か100円上げる交渉をしにいったら、それまで付き合っていた7件の歯科医院に全て切られました。(20年前の出来事)
流行り、廃りがあるように、モノには限度があり、限度を迎えたその先には、淘汰、安定があるとするなら、これからは増々淘汰されるものがある、ということでしょうか。
歯医者さんも、今の状態のままで10年後も患者さんが来るのか?を想像し、「やばいな」と思えば今の状態を変える行動を起こさないといけません。
技工士も、10年後にも今と同じ技工物の注文があるのかどうかを想像し、「少なくとも、今のままではないだろうな」と思うのなら、変える行動をおこさないといけません。
また、せっかく同じ業界にいるわけですから、出来ることなら歯科医師と歯科技工士が協力しあって、患者さんが喜び、その見返りとして歯科業界全体が良くなるためにはどうしたら良いのかを、抽象的な理想論は抜きにして語り合い、行動に移せればと思います。
歯医者さんだけ頑張っても難しいでしょう。技工士だけ頑張っても無理でしょう。
改革の波に流されるのではなく、自ら改革を進めていけば怖いことなど無いと思います。
特にこれからを生きる若い先生方が、これまでとは違う考えを前面に出してゆき、担当地域の患者さんの口の中を全部変える、くらいの気概を持って取り組むなら、先生も技工士もまだまだやらなければならないことは山積しているのではないかと思っています。
だからこそ、インプラント1本全て込で150,000円とか、98,000円とかの広告を見ると情けなくなります。
沢山勉強した頭の良い先生が、業界のことを、働くスタッフのことを、そしてなにより患者さんのことを考えて、何でそれなんですか?と、言いたくなります。
淘汰には隣のライバルに勝てば良いだけのことです。1/2が残ると考えれば充分でしょう。
問題は、どのようにして、何で勝ち残っていくのか?ということだと思いますし、それは決してスタッフなどの犠牲の上に無く、患者さんに言い訳するものでもなく、患者さんやスタッフ皆に喜ばれることの上にあるものだと思います。