今日の午前中は患者さんとの立ち会いで、歯科医院へ行ってきました。
先日このブログで紹介した2級オープンバイトの患者さんです。
過去のレポートは
こちら と
こちら
【写真-1】
今日お会いした時の最初の口腔内の状態ですが、かなり落ち着いている様子でした。
【写真-2】
こちらは 4月5日(1週間前) の写真
その後お加減はどうですか?と伺うと、起きているとき突発的な頭痛はたまにあるものの、鎮痛剤はほとんど飲まなくなりましたとのこと。さらに寝起きの頭痛は完全になくなったそうです。
【写真-3】
ここまでは就寝中の筋肉の弛緩を利用した顎位の誘導でしたが、ここから先に進むためには偏位の原因になっているピポット部分をリシェイピングしていかなければならず、現時点のピポットと今後偏位するに従い段階的にピポットになりうるであろう部位に削合コアを製作し、先生にリシェイピングしていただきました。
今回のアポイントでは前方回転を始めた下顎を、さらに被蓋咬合を確立させると同時に、正中を揃える方向へも誘導する装置を装着します。
【写真-4】
【写真-1】に上顎の中切歯同士の中間と、下顎の中切歯同士の中間点を記してみました。実際に小帯の位置などから正中を見てみると、上顎は気持ち左側寄りに正中があるようですが、下顎の正中は黄色のポイントのままでした。下唇自体も左側に振れています。【写真-4】
≪捻りについて≫
1、
模型上での空論(?)では、捻りの顎偏位の一番の原因は上顎右側犬歯でした。
2級が1級になる過程で捻りも戻ろうとする先で邪魔になるのが右上3番となります。
【写真-3】にあるように、右上3番をリシェイピングしてもらうため削合コアを製作しました。
削った量は凄まじい量です。開いたスペースに物体を作る「咬合」による弊害で、無理やり咬ませるために異様に膨らませた舌側の形態を限界まで削ってもらいました。
2、
右上3番の舌側の膨らみが最大の問題でしたが、【写真-2】などからも分かるように対合の右
下345番も平面を崩し将来的にピポットになる危険性があったため、咬頭をリシェイピングして
もらいました。【写真-5】
【写真-5】
≪前方回転 被蓋について≫
1、
さらなる前方回転を阻害している原因は右上三番も一部絡んでいますが、左右の上顎小臼
歯部です。【写真-3】の削合コアでは特に左側の小臼歯部の削除量を多めに設定しました。
2、
前方回転した先に問題になるであろう、左上2番の舌側傾斜も調整していただきました。
【写真-7】【写真-8、9、10】参照
【写真-7】
さて、もう一度最初の状態を見てみましょう。
≪今年の1月の状態≫
【写真-8、9、10】
こういう状態で歯科医院へ行った場合、通法通りの対処というとどうなるのでしょうか。
今回紹介している工程では、臼歯を挙げ、前歯部を削るという、およそ通法通りのアプローチとは全く逆のことをしています。
さて、前述したとおり、ここまでは就寝時へのアプローチでしたが、咬合治療について患者さんの理解も得られたため、さらに改善する環境をリシェイピングで整えていただきました。
そのうえで今日からは、日中の緊張状態にある筋肉への働きかけということで患者可撤式のプレートを臼歯部に入れてもらいます。「食事のとき以外は装着してください」と。
昼間用の装置を入れた状態
臼歯部をまた挙げました。 当然オープンになります。
夜はこれまで通り、就寝時用の前方回転を促す謎のスプリントを入れてもらいます。
2週間から4週間すると昼用のプレートの高径に慣れるので、患者さんの了解を得てアイオノマーで固定してしまいます。 (臼歯部はこの治療に入る以前からTEKだったので上乗せするだけです)
そのころ顎位がどう誘導されているか、です。
2級 オープンバイト
その1
2級 オープンバイト
その2