2011年7月4日月曜日

口腔がん検診について -初期病変を見逃さないために-

JDAセミナーの午後の部のとき、私の携帯に2回着信がありました。

1回目はスルーしましたが、2回目はさすがに発信先を確認したところ、浦和のドクターからでした。
仕方なく退座し電話すると、「今日夕方から川口でセミナーあるから行きましょう」とのこと。。。

JDAは佐野と一緒の参加だったので、そちらは佐野に託し川口に行くことを決め、その旨を佐野にメールで伝え私は川口に行こうとしました。

すると、3番目の演者だったGCの岩永さんと通路ですれ違い、「岩永さん 久しぶり」と挨拶。
実は岩永さんは昨年の12月にaadvaの説明でサヤカにいらしていました。  こちら

岩永さんもビックリしたようで、そこからイニシャルIQの話、aadvaの話、硬石膏の話に華が咲き、ナンダカンダと30分くらい話し込んでしまいましたw

その後、地元の病院へ寄ってから川口駅すぐ近くの川口リリアへ。




≪  川口歯科医師会  学術講演会  ≫

山形大学医学部歯科口腔・形成外科学講座  飯野光喜先生

1、口腔がんの発生と特徴
2、各種がん検診と口腔がん検診
3、口腔がんやがん類似病変の実際
4、口腔がんの診断と治療

最近の統計からは日本人の2人に1人ががんを患い、3人に1人はがんで死亡している。
口腔がんによる死亡数は増加の一途を辿っていて、年間5,000人が口腔がんで死亡している。


・タバコ(ベンゾピレン) (ニトロサミン)
アルコール(アセドアルデヒド)  ←赤くなる人はダメ      それぞれ発がん物質

・歯の本数が少ない人ほど口腔がんになる確率が高くなるという論文が出てきている

・dentocola    sanginosus  がんに含まれ、唾液中に増える
再発防止には口腔ケア(歯周病菌)が肝心
歯周病菌が心筋梗塞や食道がんに影響する

・HPV感染(口腔・咽頭がん) →男性性器に存在し、性交渉を通して感染

・男性では 肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、すい臓がん の順に多い

・女性では 肺がん、大腸がん、胃がん、すい臓がん、乳房がん の順に多い

・すべてのがん検診で3割程度の見落としがある

・口腔がん検診では1~2割程度

・白色の粘膜 白板症は1割ががん化

・口腔がんは「見る」「触る」では分からない


現在は1年間に歯科医師会員の約10名に1人は口腔がん患者を診察する機会がある、または1件の歯科診療所は数年間に1回はがん患者を診察する機会がある、とも言われているそうです。
写真を沢山見せていただきましたが、扁平上皮がん患者を見逃す確率は低くないようです。
前述のとおり、口内炎なのか、がんなのか、は「見る」「触る」では判断がつかないことも多く、その場合は躊躇することなく専門医療機関に紹介してくださいと言っていました。

現実の問題としては。。。
一般の歯科医師が「見た感じでは分からないから」と専門医療機関へ患者を紹介し、それが「何でもない口内炎」だったときなどに、「こんなの炎症に決まっているだろ」という専門医療機関の心無い応対があるそうです。

そういった応対に一般の歯科医師が及び腰になり、怪しいけど紹介しづらく、結果としてがんの発見を遅らせてしまう、見落としてしまう、ということにつながるそうです。

これは紹介を受ける専門医療機関側に問題があるとしか言いようがないと思いました。
山形大学では医局員などにも徹底してそのようなことがないよう努めているそうです。

実際の口腔がんのオペなど、かなりリアルな映像もバンバン見せていただきましたが、口腔がんのオペともなると、歯科とか何科とかではなくなる感じです。
喉の下まで切開し、舌を喉の方から引っ張るなどもしていました。

安全マージンを含めた舌の再生のために腕から皮膚と動脈と静脈を移植したりと、その術式も感心させられるばかりでした。ただし、がん切除後は飯野先生などではなく、形成外科の先生が担当すると言っていました。

普通の歯科医療のなかで、ここまでのオペが必要ない程度で早期発見できるようになれば、それは素晴らしいことだと思いますし、そのように努めなければならないのだろうと思います。

現在では、いくつかの自治体、歯科医師会が口腔がん検診を始めているそうです。

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