2010年12月2日木曜日

ハイブリッドセラミック

「ハイブリッド・セラミック」
歯科の歴史の中で「ネーミング賞」があるとすれば、これになるのではないでしょうか。

レジンにセラミックを混ぜたもの、セラミック粉にレジンを混ぜたものと、表現の仕方はいくつかあると思いますが、「ハイブリッド・セラミック」という言葉を使ってはいけないという制約がある場合、「これは何ですか?」と聞かれたとき技工士さんならば何と答えるでしょうか。

ハイブリッド・セラミック これは何でしょう。

私はレジンです、と答えます。

私の認識するところのセラミックの定義はやはり焼結された単一の素材になります。
そのセラミックとレジンを混ぜたものだから、ハイブリッド・セラミックじゃないか、と言われると違うとは言えませんが、でもそれなら「ハイブリッド・レジン」ではないのか、と思ってしまいます。
フィラーの含有率での話ではありません。

感覚的な問題なのでしょうか。たとえば何も知らない人に、これはセラミックとレジンを混ぜ合わせた「セラミックなんだよ」、と私は言えないのです。セラミック粉が入ったレジン、と答えたいのです。

歯科界でまかり通っている「ハイブリッド・セラミック」は名前の後ろにセラミックとつくからセラミックっぽく伝わってしまいます。
それは決してセラミックだと認識されてはいけないものだろうと感じるにもかかわらず、また、メーカーが「ハイブリッド・レジン」や「超硬質レジン」と表現しているものであったとしても「ハイブリッドセラミック」と言わざるをえない場合があります。ドクターや衛生士さんが相手の場合、そのほうがこちらが言いたいことが確実に伝わりますし、さらにはドクターや衛生士さんが患者さまに伝えるときも同様のことが言えたりするからではないかと思います。

実際に使われている材料がエステニアであろうがシンフォニーであろうが、自費のレジンを説明する衛生士さんの多くは「ハイブリッド・セラミック」 「ハイブリッド系のセラミック」と言っているのではないでしょうか。


しかし、そのネーミングのために新たな市場が確立したと言えるとも思っています。それは物性云々、審美性云々ではありません。メタルボンドの下に位置し、保険の前装冠の上に存在するハイブリッド系。

松竹梅の竹の確立、拡充は日本人にはフィットした存在なのかもしれません。


今後のオールセラミック系(と、ここでも系)の浸透と、ジルコニア冠の登場で、何かと変わることが出てくるかもしれませんね。


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